コンタクトレンズの処方箋の見方【近視・遠視・乱視・遠近両用】
最終更新日:
公開日:
コンタクトレンズの処方箋(指示書)には数字や英語が記載されており、見方がよくわからないですよね。
ネットを使ってコンタクトレンズを購入する場合は、自分で数値を入力する必要がありますが、「どの数字を入力すれば良いのかわからなくて困る」という方は多いです。
コンタクトレンズの処方箋には難しい言葉が並んでいますが、要点さえ押さえれば簡単に理解できます。
この記事では、コンタクトレンズの処方箋の見方について、画像を使ってどこよりもわかりやすく解説していきます。
コンタクトレンズの処方箋(指示書)とは?
コンタクトレンズの処方箋とは、眼科医療機関において発行される「コンタクトレンズ指示書」のことです。
処方箋の記載事項例は以下のとおりです。※参考1
- 患者氏名
- 販売名(製品名)/メーカー名
- 規格(ベースカーブ、球面度数、直径、円柱度数、円柱軸、加入度数、その他)
- 数量
- 装用方法(終日装用、連続装用)
- 発行日
- 有効期間
- 医療機関名、医師名、連絡先、捺印
※処方箋の様式や記載方法は眼科医療機関によって多少異なります。
コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、薬機法上では処方箋提出の法的な義務はないので処方箋不要で購入ができます。
しかし、コンタクトレンズを正しくかつ安全に使用するために、初めてコンタクトレンズを購入する方、種類や度数の変更を希望の方は、眼科医療機関を受診し医師の処方・指示に基づき、処方箋を発行してもらいましょう。
コンタクトレンズの処方箋の見方【近視・遠視用の場合】
近視・遠視用コンタクトレンズの処方箋には、ベースカーブ・度数・レンズ直径の3項目が記載されています。
BC(ベースカーブ)
BC(ベースカーブ)は、レンズ内側の曲面で中央部の曲率半径です。※参考2
数値が小さいほどカーブがきつく、大きくなるほどカーブがゆるくなります。
- 使い捨てソフトコンタクトレンズ
- BC8.3~9.0が主流です。
1つの製品に1~3種類のベースカーブが用意されています。
使い捨てソフトコンタクトレンズはベースカーブの種類が限られているため、角膜の形状に一番近いベースカーブを選択します。 - コンベンショナルソフトコンタクトレンズ
- 使い捨てソフトコンタクトレンズと同様のベースカーブが主流ですが、BC8.3以下やBC9.0以上の製品もあります。
- ※コンベンショナルレンズとは、ケアをしながら1枚のレンズを1年~2年を目安に交換するコンタクトレンズのことです。
- ハードコンタクトレンズ
- BC5.0~9.0が主流です。
ハードコンタクトレンズは硬い素材で出来ているため、角膜(黒目)の形状に合わせて0.05㎜や0.1㎜間隔で作られています。
ベースカーブの種類が豊富にあります。
ベースカーブと角膜の形状が合っていることが大切です。
しかしベースカーブは自分で測定する事がでないため、眼科医療機関で検査を行い調べる必要があります。
- 注意点
- ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズのベースカーブは一致しません。
ソフトコンタクトレンズのベースカーブの数値で、ハードコンタクトレンズの購入はできません。またその逆であっても購入はできません。
POWER/PWR/P/D/SPH/S(度数、球面度数)
POWER/PWR/P/D/SPH/S(パワー/ディオプター/スフィア)は、近視・遠視度数です。
近視や遠視の度数のことを「球面度数」といいます。
近視度数はマイナス(-)、遠視度数はプラス(+)で表記されます。
数値が大きくなるほど近視や遠視の度数が強くなります。
度数の欄に《0.00、±0.00》と記載されているものは度なしのコンタクトレンズです。
コンタクトレンズの度数は、0.25間隔または0.50間隔で製造されています。
製造範囲は製品によって異なります。
- 注意点
- 遠視度数を製造していない製品があります。
種類を決める際に必ず遠視度数の有無を確認してください。
DIA(レンズ直径)
DIA(ダイアメーター/ダイアミター)は、レンズ直径です。
数値が大きくなるほどレンズ直径が大きくなります。
- ソフトコンタクトレンズ(使い捨て・コンベンショナル)
- 角膜よりもレンズ直径が大きいため、角膜が完全にコンタクトレンズで覆われます。
レンズ直径は13.0~14.5が主流です。
使い捨てソフトコンタクトレンズは1つの製品に1種類のレンズ直径が多く、コンベンショナルソフトコンタクトレンズは1種類~数種類のレンズ直径を用意しています。 - ハードコンタクトレンズ
- 角膜よりもレンズ直径が小さく、レンズ直径は9.0前後が主流です。
ハードコンタクトレンズはレンズ直径7.5~11.0までの数種類を用意している製品が多いです。
コンタクトレンズの処方箋の見方【乱視用の場合】
乱視用コンタクトレンズの処方箋には、すでに紹介したベースカーブ・度数・レンズ直径の他に、乱視度数・乱視軸の2項目が追加された形で記載されています。
CYL/C/CY(乱視度数、円柱度数)
CYL/C/CY(シリンダー)は、乱視度数(円柱度数)です。
コンタクトレンズの乱視度数はマイナス(-)で表記されます。
数値が大きくなるほど乱視度数が強くなります。
使い捨てソフトコンタクトレンズの乱視度数は-0.75から0.50間隔の製造が主流です。
製造範囲は製品によって異なります。
AX/AXS/AXIS(乱視軸、円柱軸、中心軸)
AX/AXS/AXIS(アクシス)は、乱視の角度です。
乱視の角度のことを「乱視軸、円柱軸、中心軸」といいます。
乱視軸の数値に大小や強弱はありません。
コンタクトレンズの乱視軸は10°~180°まであり10°間隔で表記されます。
しかし、使い捨てソフトコンタクトレンズの乱視軸は10°~180°のすべての角度を製造していません。
1つの製品に1種類~4種類、豊富な製品でも10種類です。
乱視軸の種類は製品によって異なりますが、180°はほとんどの製品で用意されています。
コンタクトレンズの処方箋の見方【遠近両用の場合】
遠近両用の近視・遠視用コンタクトレンズの処方箋には、すでに紹介したベースカーブ・度数・レンズ直径の他に、加入度数の1項目が追加された形で記載されています。
遠近両用の乱視用コンタクトレンズの処方箋には、すでに紹介したベースカーブ・度数・レンズ直径・乱視度数・乱視軸の他に加入度数の1項目が追加された形で記載されています。
ADD(加入度数)
ADD(アディション)は、近方を見るための加入度数です。
加入度数はプラス(+)で表記されます。
数値が大きくなるほど加入度数が強くなります。
使い捨てソフトコンタクトレンズの加入度数は1つの製品に1種類~3種類が主流です。
加入度数は製品によって異なります。
- 注意点
- 処方箋に加入度数欄がない場合は、空欄や備考欄に記載されています。
- 製品によって加入度数の前に《LOW・MID・HIGH》と記載されている場合があります。記載されている数値をそのまま入力して下さい。
- 加入度数にプラス(+)の記載がない場合があります。記載されている数値をそのまま入力して下さい。
コンタクトレンズの処方箋を正しく理解して安全に購入しましょう
コンタクトレンズの処方箋にはコンタクトレンズを購入する上で必要な情報が記載されています。
初めて購入する方、種類や度数の変更を希望の方は、眼科医療機関を受診し処方箋を発行してもらいましょう。
眼科医療機関によっては処方箋に有効期限が設けられています。発効日から14日や1ヶ月と短い期限が設定されている場合もあります。購入する前に有効期限を過ぎていないか確認をしなければなりません。
また、処方箋の偽造、改ざんしたものも無効になります。
処方箋に記載されている販売名以外の製品の購入もできません。※参考1
コンタクトレンズは処方箋なしでも購入可能?
コンタクトレンズは薬機法上では処方箋(指示書)提出の法的な義務はないので処方箋不要で購入ができます。
しかし、処方箋が不要で購入ができるコンタクトレンズ通販サイトを利用する場合も、定期的な眼科医療機関の受診は必要です。自覚症状がなくても眼障害が進行していることや、度数が合わなくなっていることがあります。※参考3
定期検査のスケジュールは購入後1週目・1カ月目・3カ月目・6カ月目、以降は3ヶ月ごとの検査が一般的です。※参考4
ただし、目の充血・痛み・かゆみ・異物感・乾燥感などの症状が出た場合は、すぐに眼科医療機関を受診しましょう。受診の際は、症状が完治するまでコンタクトレンズの装用禁止の診断が出ることがありますので眼鏡の持参をおすすめします。
処方箋に記載されている内容を正しく理解し、安全にコンタクトレンズを購入・使用しましょう。 アットコンタクトTOPページはこちら
参考資料
- 参考1:一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズの販売自主基準
- http://www.jcla.gr.jp/file/clhanbaijishukijun_kaitei_Q&A_20180514.pdf
- 参考2:一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズについて
- https://www.jcla.gr.jp/contactlens/index.html
- 参考3:一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:安全に使用するために
- https://www.jcla.gr.jp/safely/index.html
- 参考4:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:知っておきたいコンタクトレンズのはなし
- https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-devices/qa/0002.html