コンタクトレンズのタンパク除去はなぜ必要?頻度や洗浄方法も
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コンタクトレンズのお手入れで、「タンパク除去」が必要だと聞いたことがあるかもしれません。
タンパク除去が不十分だと、長時間装用時に目が乾くなどの不快な症状の原因になることがあります。
この記事では、タンパク除去の必要性と方法を解説します。
ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズのそれぞれに使える、おすすめの洗浄液もチェックしてみてください。
タンパク除去は目を守るために必要
目の健康を保ちながらコンタクトレンズを使用するために、タンパク除去を行いましょう。
一度外したら再使用できない1DAYタイプ以外の、2WEEKタイプやハードコンタクトレンズなどは、適切なお手入れによってタンパク質の汚れを落とす必要があります。
まずは、タンパク汚れの特徴や、ケアによる除去が必要な理由を説明します。
コンタクトレンズのタンパク除去とは
洗浄液などを使って行うタンパク除去は、お手入れにおいて欠かせないステップです。
コンタクトレンズに付着する汚れは、化粧品など外部からの汚れと、目の分泌物による汚れに分けられます。
このうち目の分泌物には、タンパク質が多く含まれます。変性しやすいタンパク質は、コンタクトレンズに固着しやすく、他の種類の汚れに比べて落としにくいのが特徴です。
ドライアイや、アレルギー性結膜炎の症状が強い人は、分泌物が多く、タンパク汚れが付きやすい傾向にあります。※参考1
ソフトコンタクトレンズの中でも「非イオン性」のものは、タンパク汚れが付きにくいことも覚えておくとよいでしょう。
コンタクトレンズの汚れについて、こちらの記事でも詳しく解説しています。

タンパク汚れが眼障害を引き起こすことも
コンタクトレンズに付着したタンパク汚れは、乾きや異物感、視界のくもりの原因になるほか、眼障害を引き起こすこともあります。
例として、アレルギー反応を起こし、まぶたの裏に突起を生じる巨大乳頭結膜炎になることがあります。
コンタクトレンズのすべりが悪くなるために角膜が傷付くこともあり、さらに感染を起こせば、失明につながるような深刻な状態にもなりかねません。
安全にコンタクトレンズを使うには、蓄積しやすいタンパク質も含め、汚れをしっかりと落とすことが重要です。
種類別・コンタクトレンズのタンパク除去方法
具体的なタンパク除去の方法や頻度を説明しますので、実践してみてください。
使用期間の短い2WEEKのソフトコンタクトレンズは、毎日のお手入れでタンパク除去を行うのが基本です。
それよりも使用期間の長いソフトコンタクトレンズや、ハードコンタクトレンズは、毎日のお手入れに加えて、定期的な強力タンパク除去で汚れを落としましょう。
まずは毎日のケアを丁寧に行う
ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズのどちらにも共通して言えるのは、毎日のお手入れを欠かさず丁寧に行う必要があることです。
両面ともこすり洗いをして、タンパク質・脂質などの汚れや微生物を落とし、可能な限り汚れをためないようにします。
使用するケア用品の使い方や特徴を理解し、工程を省略することなく、正しい方法でコンタクトレンズをお手入れしましょう。
ソフトコンタクトレンズのタンパク除去方法
ソフトコンタクトレンズは、毎日必ずこすり洗いをして、タンパク汚れを落とします。手のひらにコンタクトレンズを乗せて洗浄液をたらし、指の腹で、両面とも各20秒こすってください。
ソフトコンタクトレンズを外した後には、以下の4つのステップでお手入れを行います。
- 洗浄→すすぎ→消毒→保存
ケア用品には、以下のような種類があります。
- マルチパーパスソリューション(MPS)
- 1本で洗浄・すすぎ・消毒・保存のすべてを行える、最も普及しているタイプ。
- 過酸化水素タイプ
- 過酸化水素で消毒後、中和する。消毒効果が高い。
- ポビドンヨードタイプ
- ヨウ素を主成分とする消毒液と、中和剤を使用
- 煮沸消毒タイプ
- 消毒効果が高いが、加熱によりタンパク汚れが固着したり、コンタクトレンズが劣化したりすることに注意。
どの種類を使用しても、こすり洗いと4つのステップは必須です。
2WEEKのコンタクトレンズは、毎日のお手入れで汚れを落とせていれば、定期的な強力タンパク除去を行う必要はありません。※参考2
通年タイプのソフトコンタクトレンズの場合は、毎日のお手入れに加えてタンパク除去のお手入れも必要です。
ハードコンタクトレンズのタンパク除去方法
ハードコンタクトレンズは、毎日のお手入れにプラスして、定期的に強力タンパク除去を行いましょう。洗浄剤にもよりますが、強力タンパク除去の頻度は、1週間から1ヶ月に1回ほどです。(注3)
毎日のお手入れは、以下の3つのステップで行います。
- 洗浄→すすぎ→保存
ハードコンタクトレンズ用の洗浄液は、こすり洗いタイプと、つけおきタイプに分けられます。
ただし、こすり洗い不要と記載のあるつけおきタイプの洗浄液でも、汚れをすっきり落とすためにはこすり洗いをすることをおすすめします。
強力タンパク除去用には、2種類の洗浄剤があります。
- 酵素タイプ
- 酵素には、タンパク汚れを分解する働きがある。この酵素を含んだ錠剤や類粒を、保存液や精製水に溶かし、数時間コンタクトレンズをつけおく。
- 塩素タイプ
- 次亜塩素酸ナトリウム溶液につけおく。強力に汚れを落とせるが、コンタクトレンズを劣化させないために、月1回程度の使用にとどめる。
定期的な交換も必要
2WEEKタイプなど、使い捨てのソフトコンタクトレンズは、きれいに見えても実際には汚れが蓄積していることがあります。短期間の使用を前提に作られているため、汚れやすいのです。
開封してから決められた使用期間が経過したら、汚れていると感じなくても、新品への交換が必須です。
長期間使用できるハードコンタクトレンズも、汚れや傷が目立ってきたら新品へ交換しましょう。いくらお手入れに力を入れても、落としきれない汚れが徐々にたまっていきます。
汚れや傷が目立たない場合でも、ハードコンタクトレンズの寿命は、2年から3年ほどとされます。
コンタクトレンズの使用期間について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

タンパク除去ができるコンタクトレンズの洗浄液
タンパク除去に効果的な、おすすめの洗浄液を5つ紹介します。
洗浄液には、ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズそれぞれの専用のものや、双方に使えるものがあり、実にさまざまなタイプが存在します。
以下で紹介する洗浄液は、その一例です。すべてアットコンタクトで購入できるので、ぜひ試してみてください。
アキュビュー リバイタレンズ
ソフトコンタクトレンズ専用の、マルチパーパスソリューション。
非イオン性の界面活性剤「ポロキサミン」が含まれ、タンパク質や脂質汚れをきれいに落とせます。
2種類の消毒成分により消毒力に優れ、眼障害の予防効果も期待できます。

メーカー | エイエムオー・ジャパン |
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対象のコンタクトレンズ | すべてのソフトコンタクトレンズ |
エーオーセプト クリアケア
ソフトコンタクトレンズ専用です。ケースに液を入れ専用のホルダーにセットしたコンタクトレンズをつけおくと、消毒・泡洗浄・中和が完了する、過酸化水素タイプの製品です。
洗浄成分の「プルロニック」は、装用時のうるおい感もアップさせます。
ミクロの泡が、タンパク質・脂質・花粉などの汚れを落とします。
メーカー | 日本アルコン |
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対象のコンタクトレンズ | すべてのソフトコンタクトレンズ(一部のカラーコンタクトレンズを除く) |
エピカクリア
ソフトコンタクトレンズ専用です。タンパク分解酵素を主成分とする製品です。メニコンのエピカシリーズの洗浄液と、セットで使用します。
週に一度の頻度で、エピカシリーズに2滴ずつたらすだけと、使い方は簡単です。
2WEEKのコンタクトレンズの汚れが気になるときや、1MONTHなどのコンタクトレンズの定期的なお手入れに使うとよいでしょう。
メーカー | メニコン |
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対象のコンタクトレンズ | すべてのソフトコンタクトレンズ(ただし、エピカシリーズ製品とセットで使用) |
O2ケアミルファ
ハードコンタクトレンズ専用の、毎日のお手入れに使用する洗浄液。洗浄・すすぎ・保存・タンパク除去がO2ケアミルファだけで完了します。
タンパク分解酵素と、脂質汚れに効果的な2種類の界面活性剤が配合され、洗浄力に優れます。
メーカー | メニコン |
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対象のコンタクトレンズ | 酸素透過性ハードコンタクトレンズ |
シンプルワン
ハードコンタクトレンズ専用毎日のお手入れでタンパク除去ができる洗浄液。
生体適合物質の「リピジュア」が酵素による洗浄力を高め、汚れの付着も防ぎます。
シンプルワンだけでも毎日のお手入れが完了しますが、アットコンタクトで購入すると、微粒子入りで汚れを強力に落とせる、こすり洗い専用のピュアクリーナーが付属します。
メーカー | HOYA |
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対象のコンタクトレンズ | 酸素透過性ハードコンタクトレンズ(ピュアクリーナーは、表面処理されているものには使用不可) |
コンタクトレンズのタンパク除去は欠かせない
タンパク除去は、安全に・快適にコンタクトレンズを使い続けるために必要なお手入れです。
手を抜かず十分にタンパク除去を行い、眼障害を予防して目の健康を守りましょう。
なお、アレルギーの症状が強いために目の分泌物が多いなど、タンパク除去をしても汚れが気になる場合は、1DAYのコンタクトレンズに変えるのも有効です。
アットコンタクトでは、ケア用品を多数販売しています。コンタクトレンズのケア用品は、アットコンタクトでお買い求めください。アットコンタクトTOPページはこちら
参考資料
- 参考1:コンタクトレンズの汚れとキズ|日本コンタクトレンズ学会
- http://www.clgakkai.jp/general/study01-2.html
- 参考2:ソフトコンタクトレンズのケア|日本コンタクトレンズ学会
- http://www.clgakkai.jp/general/study04-1.html
- 参考3:ハードコンタクトレンズのケア|日本コンタクトレンズ学会
- http://www.clgakkai.jp/general/study03-2.html