コンタクトレンズで目やにが出る?ネバネバやくもりの原因と対処法
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コンタクトレンズを使っていると、目やにが多く出ることがあります。
目やには代謝により作られるもののため、起床時に少量付いているのは自然なことです。
しかし、目やにがネバネバしていたり、目も充血していたりなど、いつもと様子が違っていたら要注意。目に何らかのトラブルが起きている可能性があります。
この記事では、目やにが多いときに考えられる目の病気や対処法を解説します。
コンタクトレンズが目やにの原因になるケース
コンタクトレンズが目やにの原因になるのは、以下の3つのケ―スが考えられます。
- コンタクトレンズに汚れが付着している
- コンタクトレンズを付けたまま寝てしまう
- コンタクトレンズやケア用品が合っていない
また、ウイルスや異物が目に入ったときにも、免疫反応として目やにが出ます。
起きているときは、目やにが出てもまばたきの度に涙で洗い流されるので、健康な目ならあまり気にならないでしょう。
しかし、常に目やにが多く出るなら、目に何らかの異常が起きているサインかもしれません。
コンタクトレンズに汚れが付着している
コンタクトレンズの汚れがさまざまなトラブルを引き起こし、目やにの原因になることがあります。
特にアイシャドウなどの化粧品や手指の汚れは、コンタクトレンズに付きやすいです。
メイクをするときの汚れの付着を防ぐためには、メイクをする前にコンタクトレンズを付け、メイクを落とす前に外しましょう。メイク後は油分を含む化粧品の汚れが手に残りやすく、クレンジング剤が目の中に入った場合にも汚れの原因になるためです。
しかし、注意していても、コンタクトレンズには目の分泌物や空気中のゴミなどがどうしても付着してしまいます。そのため、適切なレンズケアによって、汚れを落とすことが重要です。※参考1
コンタクトレンズを付けたまま寝てしまう
コンタクトレンズを付けたまま寝てしまうと、目に大きな負担がかかり、深刻な眼障害を引き起こすケースもあります。
コンタクトレンズを装用しているときは、たとえ使用方法を守っていても角膜が酸素不足になりやすい状態です。
コンタクトレンズを付けたまま寝てしまうと、まぶたを閉じたまま長時間装用することになり、酸素不足はさらに加速するのです。
酸素不足になった角膜は傷付きやすく、また感染症を起こしやすくなります。※参考2
コンタクトレンズを付けたまま寝てしまうリスクや対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

コンタクトレンズやケア用品が合っていない
コンタクトレンズの種類や素材、ケア用品を変えることで、目やにを軽減できる可能性があります。
目やには、ケア用品に含まれる防腐剤などの成分に対するアレルギー反応により出ることも考えられます。
たとえば、1本で洗浄・消毒・保存が可能なMPS(マルチパーパスソリューション)は、含まれている薬剤に対して過敏症が起きることがあります。※参考3
この場合、以下のような対応で改善することがあります。
- ケアの不要な1DAYのコンタクトレンズに変更する
- MPSよりも過敏症の発生頻度が低い過酸化水素系のケア用品に変更する
また、ヨウ素アレルギーを持っている人や、甲状腺機能にトラブルのある人は、ポビドンヨード系の洗浄液は使用できません。※参考4
目やにが多いときに疑われる眼障害
コンタクトレンズを使用していて目やにが多いときには、以下のような眼障害が疑われます。
- アレルギー性結膜炎
- ウイルス性結膜炎
- 細菌性結膜炎
- 巨大乳頭結膜炎
- 角膜障害
定められた期間を超えてのコンタクトレンズの使用や、不適切なレンズケアによって、ときには深刻な状態を招くこともあります。
このような眼障害を早く発見して対処するため、コンタクトレンズを正しく使用するとともに、定期検査を受けましょう。
アレルギー性結膜炎
「アレルギー性結膜炎」は、ほこりやダニ、花粉などのアレルゲンによって引き起こされる結膜炎です。コンタクトレンズに付着した汚れをきちんと洗浄できていないと、発生リスクがより高くなります。
白く糸を引くような目やにが出ることがあるほか、かゆみや充血、涙などの症状が出ることが多いです。
アレルギー性結膜炎の症状が強いときには、コンタクトレンズを使わないようにしましょう。
無理にコンタクトレンズを装用すると、粘膜がこすれたり、目の中に増えた分泌物がコンタクトレンズに付着したりすることから、症状が悪化してしまいます。
ウイルス性結膜炎
「ウイルス性結膜炎」は、名前の通りウイルス感染によって引き起こされる結膜炎です。
代表的なものは、アデノウイルスによる「流行性角結膜炎」です。
ウイルス性結膜炎にかかると、大量の目やにが出たり、充血したりします。また、感染力の強さも特徴です。
細菌性結膜炎
「細菌性結膜炎」は、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などの細菌感染によって引き起こされる結膜炎です。
黄色くネバネバした、うみのような目やにが出やすくなります。
巨大乳頭結膜炎
「巨大乳頭結膜炎」は、主にコンタクトレンズの汚れへのアレルギー反応を原因とします。特に、ソフトコンタクトレンズユーザーに多い眼障害です。
上まぶたの裏側の結膜に突起が生じ、目やにやかゆみ、ゴロゴロとした異物感などが症状として現れます。
巨大乳頭結膜炎にかかった状態でコンタクトレンズを装用すると、コンタクトレンズが目の上の方にずれたり、汚れてくもりやすくなったりします。
角膜障害
コンタクトレンズに付着した汚れや長時間の装用は、角膜の病気にもつながります。
有名なのは、「びまん性角膜上皮症(点状表層角膜症)」。これが悪化すると、「角膜上皮びらん」、「角膜浸潤」、「角膜潰瘍」へと進行してしまう可能性があります。
病名 | 状態 | 代表的な症状 |
---|---|---|
びまん性角膜上皮症(点状表層角膜症) | 角膜上皮に多数の傷が付いている | 異物感・充血 |
角膜上皮びらん | 角膜上皮がはがれている | 痛み・異物感・充血 |
角膜浸潤 | 角膜上皮よりも深い角膜実質にまで炎症を起こしている | 強い痛み・充血・角膜の濁り |
角膜潰瘍 | 角膜浸潤よりも傷が深くなり、感染を起こして失明につながるリスクもある | 強い痛み・充血 |
角膜障害が進行するほど痛みが出やすくなりますが、ソフトコンタクトレンズを使用していると自覚症状がないこともあるため、注意が必要です。
目やにが多いときの対処法
コンタクトレンズ装用中の不快な目やには、さまざまな原因で生じ、その原因によって治療法や取るべき行動が異なります。
原因が分からないまま市販の目薬で対処しようとしても、効果が出ず、症状を悪化させてしまうことも考えられます。
自己判断せずに、まず眼科医に相談するようにしましょう。
目やにが多いときの望ましい対処法を、順にお伝えします。
コンタクトレンズの装用を止めて眼科を受診する
異常を感じたら、コンタクトレンズを装用せずに早めに眼科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
健康な目にとっても、コンタクトレンズは異物であり負担です。
目やになどの気になる症状が続いているにもかかわらずコンタクトレンズの使用を続けると、眼障害が悪化する恐れがあります。
目薬を点眼する
眼科を受診したら、処方された目薬を点眼しましょう。
このとき、目薬は、コンタクトレンズを外した状態で点眼します。また、目薬の先が目に触れないように注意します。
ただし、市販もされている防腐剤の入っていない人工涙液は、コンタクトレンズを装用したままでも点眼できます。
人口涙液は、アレルギー結膜炎を発症している場合に、アレルゲンを目から洗い流すのにも有効です。※参考5
コンタクトレンズのケア方法を見直す
コンタクトレンズのケア方法を見直すのも有効です。
コンタクトレンズの汚れをきちんと落とすためには、こすり洗いが必須です。※参考6
コンタクトレンズを正しく洗浄・消毒することに加え、レンズケースも十分に洗浄・乾燥させ、定期的に交換してください。
レンズケースのケアについては、こちらの記事をご覧ください。

1DAYコンタクトレンズを使用する
洗浄などのケアが苦手な人、軽いアレルギー症状がある人は、1DAYのコンタクトレンズを使うのも検討しましょう。
1DAYのコンタクトレンズであれば毎回新品のレンズを装用でき、汚れをため込まずに済みます。
中でも、タンパク質汚れが付きにくい「非イオン性素材」や、酸素を通しやすい「シリコーンハイドロゲル素材」のコンタクトレンズを選ぶと良いでしょう。
花粉症対策にもなるコンタクトレンズの種類や素材の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。

いつもと違う目やになら眼科を受診しよう
目やにの量が多いなど、いつもと様子が違うと感じたら、早めの眼科受診がおすすめです。
また、異常がなくても、コンタクトレンズの使用には眼科での定期検査が必要です。自覚症状のなかった目のトラブルを発見できることがあります。
大切な目を守るために、正しい方法で安全に・快適にコンタクトレンズを使用しましょう。
参考資料
- 参考1:日本コンタクトレンズ学会 コンタクトレンズの汚れとキズ
- http://www.clgakkai.jp/general/study01-2.html
- 参考2:日本眼科医会 放置すると失明の可能性も ~装用者の 10 人に1人が眼障害!~
- https://www.gankaikai.or.jp/press/pdf/2004.pdf
- 参考3:ソフトコンタクトレンズのケア|日本コンタクトレンズ学会
- http://www.clgakkai.jp/general/study04-1.html
- 参考4:ケア用品について | 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会
- https://www.jcla.gr.jp/contactlens/care.html
- 参考5:日本眼科医会 アレルギー性結膜炎の治療と対策
- https://www.gankaikai.or.jp/health/33/09.html
- 参考6:日本コンタクトレンズ学会 ケアの基礎知識
- http://www.clgakkai.jp/general/study02-3.html