遠近両用コンタクトレンズは乱視があっても使える?対策も紹介!
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「遠近両用コンタクトレンズが気になるけど、乱視があっても使用できる?」そんな疑問はありませんか?
実は、遠近両用コンタクトレンズにも「乱視用」があります。そのため、乱視があっても遠近両用コンタクトレンズを使用できます。今まで乱視が原因で近くの見え方を諦めていた方も、ぜひ一度試してみると良いでしょう。
この記事では、乱視だけど遠くも近くもよく見たいという方向けの対策法を紹介していきます。
遠近両用コンタクトレンズを使うのはどんな人?
遠近両用コンタクトレンズは、「老眼」の方向けに作られたコンタクトレンズです。「小さな文字が見えにくい」「夕方になると目の疲れが気になる」などの症状があり、年齢が40代以上の場合は、老眼が始まっているかもしれません。
「老眼(老視)」は、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを合わせる力が衰えることによって起こる「調節異常」です。目の中には水晶体という器官があり、水晶体が厚さを変化させることでピントを合わせています。水晶体の厚さは、毛様体筋によって調節されます。加齢によって水晶体が固くなったり、毛様体筋が衰えたりすることで近くが見えにくくなるのです。


一方、「近視」「遠視」「乱視」は、目に入った光が網膜上できちんとピントが合わない「屈折異常」です。
「近視」は、光が網膜より前に焦点を結んでしまう状態のことです。近くは見えますが、遠くはぼやけて見えます。
「遠視」は、光が網膜より後ろで焦点を結んでしまう状態のことです。遠くも近くも調節しないと見えず、目に疲れが生じます。
「乱視」は、目のゆがみにより光を網膜上の1点で結べない状態のことです。ピントが合わずにぼやけたり、二重に見えたりします。

コンタクトレンズで近くが見えない時の原因や対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

遠近両用コンタクトレンズの特徴
遠近両用コンタクトレンズには以下3つの特徴があります。
- 1.遠くと近くを見やすくするコンタクトレンズ
- 2.商品によって異なるレンズデザイン
- 3.見たい距離が見えて便利である
遠近両用コンタクトレンズは、老眼鏡と違い「見た目の印象が変わらない」「見る距離によって付け外しをする必要がない」などのメリットが多いです。
ここからは、遠近両用コンタクトレンズについて詳しく解説していきます。
遠くと近くを見やすくするコンタクトレンズ
遠近両用コンタクトレンズとは、近距離~遠距離が見やすくなるように設計されたコンタクトレンズです。1枚のコンタクトレンズに近くを見る度数と遠くを見る度数が入っています。
近視・遠視用コンタクトレンズには、コンタクトレンズの曲がり具合を表す「ベースカーブ(BC)」と、近視・遠視の度数を表す「度数(PWR)」があります。
遠近両用コンタクトレンズには、「ベースカーブ(BC)」と「度数(PWR)」のほかに「加入度数(ADD)」があります。加入度数とは、近くを見るときの度数と、遠くを見るときの度数差のことです。※参考1
加入度数の値が大きいほど、近くを見る矯正力は強くなりますが、数値が大きくなるほど見え方の質は低下します。
遠近両用コンタクトレンズについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

商品によって異なるレンズデザイン
遠近両用コンタクトレンズは、商品によって以下のようにレンズデザインが異なります。

バイフォーカルは遠くと近くのどちらか一方を見ることには向いていますが、中間距離が少し見えにくい、慣れるまでに時間がかかるといった傾向があります。一方マルチフォーカルは、自然な見え方で中間距離は比較的見やすくなりますが、遠くと近くの見え方はバイフォーカルより少し劣ると言われています。
見たい距離が見えて便利である
遠近両用コンタクトレンズは、装着するだけで遠くも近くも見えてとても便利です。特に旅行やゴルフなどの際はより快適に過ごせるでしょう。
ただし、見え方の満足度には個人差があります。また、見え方に慣れるまでに時間がかかってしまうこともあります。
見え方は商品との相性によっても変わるため、どのメーカーの商品が合っているかなどは眼科で相談が必要です。
乱視用コンタクトレンズの特徴
乱視があると、「モノが二重にブレて見える」や「にじんでみえる」などの症状が出てきます。このような症状が気になる方は、乱視用コンタクトレンズを使用することで見え方の質が向上し、ストレスフリーに過ごすことができるでしょう。
乱視用コンタクトレンズには、以下3つの特徴があります。
- 1.ゆがみを消すためのコンタクトレンズ
- 2.乱視の矯正に決まりはない
- 3.商品によって異なる2種類の構造
それぞれ詳しく解説します。
ゆがみを消すためのコンタクトレンズ
乱視用コンタクトレンズは、ぼやけの原因である目のゆがみを消すためのコンタクトレンズです。目のゆがみとは反対のゆがみを持った乱視用コンタクトレンズを目に正しい向きで入れることで、互いに打ち消しあってゆがみをなくし、乱視による見えにくさを改善します。
乱視用コンタクトレンズには、「ベースカーブ(BC)」と「度数(PWR)」のほかに、乱視の度数を表す「乱視度数(CYL)」と、乱視の角度を表す「乱視軸(AX)」があります。
乱視について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

乱視の矯正に決まりはない
乱視は程度の大小はありますが、ほとんどの人にあるものです。
乱視を矯正する目安に明確な決まりはなく、あくまでも本人がどれだけ不自由を感じているかによって、矯正の必要性が変わります。
乱視が原因で見えにくい場合は、疲れ目の原因にもなってしまうため、乱視用コンタクトレンズの使用を検討したほうが良いでしょう。
商品によって異なる2種類の構造
乱視用コンタクトレンズは、目の中で回転せずに安定した視力が得られるように、デザインが施されています。
デザインは大きく分けてふたつあります。
- 「プリズムバラストデザイン」
- コンタクトレンズの下部に向けて厚みが増すデザイン。厚い部分が重りのような役割をし、コンタクトレンズの位置を安定させます。
- 「ダブルスラブオフデザイン」
- コンタクトレンズの左右に厚みがあるデザイン。まぶたでコンタクトレンズの回転を抑えます。


このほかにも商品によりさまざまなデザインが採用されています。そのため、同じ度数を選んでも、視力の出方や付け心地が変わってしまうことがあるのです。
遠近両用と乱視を兼ね備えたコンタクトレンズを紹介
現在、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズそれぞれで「乱視矯正もできる遠近両用コンタクトレンズ」が販売されています。
ここからは、ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの違いを紹介していきます。それぞれの種類のコンタクトレンズが自身の目に合っているのかは個人差があります。そのため、眼科を受診しコンタクトレンズを試用するとよいでしょう。
ソフトコンタクトレンズ
ソフトコンタクトレンズは、水分を含んだやわらかい材質のコンタクトレンズです。黒目よりも大きく、付け心地に違和感が少ないというメリットがあります。
ソフトコンタクトレンズでは、日本初の遠近両用乱視用コンタクトレンズの「2WEEKメニコン プレミオ遠近両用トーリック」があります。
2WEEKメニコン プレミオ遠近両用トーリックの加入度数は、+1.00のみの制作です。
乱視矯正の面では、ダブルスラブオフデザインを採用。安定した見え方を実現しています。
ソフトコンタクトレンズの特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

ハードコンタクトレンズ
ハードコンタクトレンズは、素材に水分を含んでいないため、涙がレンズに吸収されず目が乾きにくいです。しかし、その分レンズが硬く、付け心地はあまり良くありません。
また、ハードコンタクトレンズは光学性に優れており、通常の近視・遠視用でも乱視矯正が可能です。ただし、乱視の種類によっては十分に矯正できない場合もあります。
ハードコンタクトレンズでは、遠近両用コンタクトレンズの「メニフォーカルZ」があります。
メニフォーカルZは、遠くと近くが鮮明に見えるバイフォーカルデザインを採用。レンズの遠用部と近用部の間に移行部を設けることで、より自然な見え方になるよう工夫されています。
ハードコンタクトレンズの特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

遠近両用コンタクトレンズが合わないときの対策
乱視矯正もできる遠近両用コンタクトレンズはまだ種類が少なく、「試してみても目に合わなかった」ということもあるかもしれません。そんなときは、下記の対策法をおすすめします。
- 単焦点コンタクトレンズの度数を調整する
- メガネを併用する
それぞれ詳しく解説します。
単焦点コンタクトレンズの度数を調整する
単焦点コンタクトレンズの度数を調整することで、「遠くも近くもある程度見える」という状態にすることができます。単焦点コンタクトレンズとは、1枚のコンタクトレンズにひとつの度数しか入っていない、通常のコンタクトレンズのことです。
近視の方は度数を弱くする、遠視の方は度数を強くすることで、近くを見やすくすることが可能です。遠くが見えにくくならない程度に度数を調整してもらいましょう。
メガネを併用する
遠くも近くもハッキリと見たい場合は、メガネを併用することをおすすめします。
コンタクトレンズを遠くが良く見える度数に合わせて、近くを見るときにコンタクトレンズの上からメガネをかけると、ピント調節機能が衰えている方でもどちらもハッキリ見ることができます。
メガネのかけ外しはやや面倒かもしれませんが、「遠近両用コンタクトレンズだけでは見え方が物足りない」という方や、「単焦点コンタクトレンズだけでは見えにくい」という方は検討してみると良いでしょう。
自分に合う方法で快適に過ごそう
40歳を過ぎると、老眼の影響は避けられません。遠近両用コンタクトレンズは、早めに使用を開始したほうが見え方に慣れやすいと言われています。近くの見え方に変化を感じたら、乱視があるからと諦めずに、ぜひ一度遠近両用コンタクトレンズを試してみることをおすすめします。
さまざまな対策法を試して、自分のライフスタイルに合った方法を見つけましょう。
参考資料
- 参考1:一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズについて
- https://www.jcla.gr.jp/contactlens/index.html